「守りの野球」に
攻撃力を加えて。
翔南中学校
野球部
市内の諸大会ではほぼ負けなし。彼らの強みである“守りの野球”で勝ち取った、「新人戦優勝の強豪校」という代名詞が胸に誇らしげだ。
決勝戦後、観客席に向かって「ありがとうございました!」と深々と頭を下げた彼らは、喜びをこらえられず抱き合い、空に向かって吠えた。
キャプテンの天野君は「選手と応援が一体になって、皆で掴んだ優勝だと思えた。
喜びが爆発した」と当時を振り返る。力投を見せたエースの内田君は「自分らしく、ストレートでガンガン攻めるピッチングができた」と満足気な表情。
彼の実力は岡崎市内でも指折りだと、バッテリーを組む副キャプテンの真木君は太鼓判を押す。「サイン通りに来るし、重くて速いストレートが武器だ」と話した。
一方で、夏に向けての課題も明白。翔南らしい守りに特化したプレイに加え、バッティングの力強さ、精度を高めることで、攻めも重視していくようだ。
「特に矢作北中は自分達と対照的。打って攻めてくる」と、天野君。学ぶことは多いと言いたげに、やや顔をしかめた。
そんな彼らだが、実は取材前日の試合で初めて負けを喫している。「原点に返る、いいきっかけになったのでは」と増野監督。
「自ら考えながら行動でき、個々の能力も高い。気持ちを外に出していくことで、まだ成長できる」と、選手らを慮った。
この夏には、進化を遂げた彼らの熱い咆哮をまた聞きたい。
(文:光田さやか)