強い気持ちを
持った人間に。
葵剣友会
『葵剣友会』は、岡崎市で昭和50年に設立され、現在は3代目となる館長が代表を務める、歴史ある剣道クラブ。市内のさまざまな校区の小学生から中学生まで、約40名が通う。
道場に礼をし、子供たちが次々と入ってくる。
手際よく防具を付けると、アップを始める。笑顔や笑い声が溢れ、実に楽しそうだ。館長が道場入りすると、キャプテンの掛け声に合わせて整列、挨拶、そして黙想。黙想から明けると、子供たちの目つきが変わっていた。
さっきまでの楽しい雰囲気は何処へやら。みんなが剣士へと豹変していた。
練習には、高校生から大人までのOBが訪れ、子供たちに稽古を付ける。
倍ほども体格が違う大人たちに、声を張り上げ、子供たちが果敢に勝負を挑む。
館長は子供たちについてこう話す。
「正直、剣道がしたい、と言ってここへきた子は非常に少ない。体力作りや礼儀を身に付けたい、と親の勧めで入ってくる子がほとんどです。だからこそ、私は続けてほしいと思っています。子供たちはそれぞれ技術も目標も違う。ただ、頑張る、ということは皆同じ。一人ひとりを認め、評価することで、子供たちに自信を与えたい。そうすれば、きっとこの先も剣道を続けてくれるはず」
倒されても、倒されても、子供たちは向かっていった。
迎え撃つ大人たちは真剣な表情で、大きな壁となって立ちはだかる。
真剣な子供たちに対し、真剣に接する大人。
これが40年という伝統を生み出し、強い気持ちを持った人を作り出しているのだろう。